夕まぐれに関する5つの断片
chap/1
隣町で花火大会がありました。
ドッと空気が振動する様な音がして、
巨大な光の華が夜空にひらきまたとじ。
でも子供心にはその大輪の華よりも、
そのひらく空は更に高く広く、
悲しくなる位に透明な広がりがあるのだなぁと
感じていた事を覚えています。
小学校の頃の記憶をたぐりながら
その光を見つめていました。
chap/2
能楽の演奏家の方からツツミはその音をきかせるのではなく、その響きからその無音の空間を際立たせるのが肝心。
そうきいた事があります。
その方の眼差しは私を見ているのではなく、私の後ろにある何ものかを見射る様な
透明なものでした。
chap/3
「何かが起こりそう」な雰囲気を作る事がタイセツなんだ。
その事前の雰囲気を作る、その事が私の映画なんだ。
ただそれが起こっちまったらオシマイなんだ、そんな事はどこでも起こっている。 『映画とその時代』より
chap/2.2
建立式の、竹に注連縄で区切られた直方体の空間。
"虚空"はそこにモノが存在しないのではなく、その場に一杯の存在が詰まっていて、
それ故にソノモノが見えない。そんな話。
chap/3
戸棚には鍵がかかっている!何という不思議!
私は幾度も、その中に輝く神秘なる物を夢見た!
chap/4
囲われたことによる
"ウツロ"はそこに
うつろってくる何ものかを
呼び込む1つの感覚装置として
存在するのでしょう。
暗い小部屋の神秘、フラジァイルな。
慎重なる光の強奪。
chap/5
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by K_Mutori
| 2012-08-01 02:59
| 光学夜話