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ミツバチと夕立

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つい先日、久しぶりに何本か映画を見ました。
長く見たいなと思っていた「ミツバチのささやき」などもあって、これなどやはりなかなかのものでした。

特に夕方の光に照らし出された室内のトワイライトな雰囲気、野溝七生子さんの『山梔』に見る様な
"夕方の寂しさ"と言ったら言い過ぎでしょうが、似通う斜陽の支配する世界が描かれています。

また、脇に立てかけてある椅子の強い存在感等、以前西洋美術館で開催していた
"ヴィルヘルム・ハンマースホイ"の絵画の様な、語りかける事をやめた部屋の静まり返った雰囲気も大変良く、
シーンごと実にフラジャイルなものでした。

夕刻にどこからか漏れ聞こえてくる人の声や汽車の音、
遠くの積乱雲にひらめく雷の光、
停電した時に目に残る一瞬の残像など。

フラジャイルな物の魅力というのは褪せる事がありません。

"自分"という普段実に強固だと思っている物が何の抵抗もなくほつれてしまう様な。
「遊星的孤独」と言った方もいらっしゃいましたか。

自分の回りに弱く放電する様な、微弱な感応性を写真では大切にしたいと改めて思うのでした。
by K_Mutori | 2012-07-19 01:09 | 光学夜話

モノクロームメインでの写真Blogです。


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